この記事は「イギリスのビザ取得日記 ~労働者ビザ編~」の後編です。
前編の記事はこちらから。
※情報は2024年9月現在のものです。
※イギリスのビザ関連情報は定期的に変更されます。最新の情報はイギリス政府のHPを参考にしてください。
※今回はビザ取得までの過程を、日記風に書くことを優先しているため、文章的なわかりやすさを優先しており、正式名称や具体的な条件とは表現が異なる場合があります。厳密な定義はビザの取得条件は専門家の人に聞いてください。
いつも抜け道があるのがイギリスのルール
前編で書いた通り、ビザ申し込みに必要な最低年収の金額が変わっていたことで、不安になっていましたが、一方で希望も持っていました。
必要最低年収£38,700とは、どの職業でSkilled Worker Visaビザを取得するにも必要ですが、私のように学生ビザ→Graduate Visa経由で就労経験が2年前後だとランドスケープアーキテクト以外でも、他の多くの職種で達成が厳しいのです。
そもそも労働者ビザが必要な職種とは、低賃金&長時間労働など、労働条件が悪くてイギリス国籍の人が就職したがらず、人手不足の業界が移民を雇う職種でも多いのです。
医療、介護系はわかりやすい例ですが、建設関連の仕事も、労働条件や時間の縛りの長さに比べると、収入がいい職種ではありません。
そのうえEU離脱以降、どこも人手不足のイギリスで、こんなに移民の雇用を厳しくしたら企業から大ブーイングを受けることは目に見えているので、低賃金でも雇えるようになんらかの抜け穴を用意してくるはずだとは思っていました。
また2024年4月以前から、医療や教師など(ランドスケープアーキテクトも含む)人手不足の業界は移民にビザを発行しやすくするために条件がゆるかったため、4月以降も特定職種はなにかしらの規制緩和はされることが推測されていました。
幸い私のビザの期限切れまでまだ少し余裕があったので、2024年の新しいビザのルールが実際に細かく出るまで希望を捨てずに待つことにしたのです。
新しいビザルールの発表……そして
さて、きたる2024年4月、政府から就労ビザ変更の細かいルールが発表されました。
原則最低年収が£38,700なことには変わりありませんが、予想通り、例外となる条件がいくつか追加されていました。
例外はいくつかあり、その中の一つにありました、言いやすくすると、「現在Graduate Visaでイギリスに滞在していて、初めてSkilled Worker Visaに切り替える人で、政府の認めた特定職種に就いている人は最低年収の必要金額を下げる」というような条項です。
ランドスケープアーキテクトはこの要項の特定職種に入っているため、ビザ申し込みに必要な年間最低給与が£32,130済むというものです。
ちなみに職種によって必要な金額が変わります。
※職種によって必要な最低年収は政府のHPに書いてあります。
下記のリンクはGraduate Visa所有者が申し込む場合の必要最低金額のリストです。
この£32,130という金額は、ランドスケープアーキテクトなら、2年ほど経験があれば達成不可能ではない額なため、私の雇用先では、給料調整も考慮したうえで、この先ビザのスポンサーとしてビザ申し込みの支援をするよ、と後日連絡をもらいました。
というわけで、一番の懸念事項だった条件もだいたい解決し、現在は就労ビザ申し込みの手続きの最中です。
この手続きも、書類ミスが一つでもあるとひっかかるので、まだまだ実際にビザの審査を通るまで油断はできませんが、過去一年間一番ストレスになっていた事が解決する方向に向かって気が楽になりました。
異国にいる限りビザ問題はずっとつきまとう
こんなにストレスも費用もかけてやっと取得するビザですが、私が今回使用するGraduateVisa→Skilled Worker Visaへの切り替えは、一つ制限があり、最大で2年の滞在期限と制限されているところです。
2年というと十分な期間に感じるかもしれませんが、新しいビザの手続きに余裕を持ちたいのであれば、ビザ取得の1年前から、費用やスポンサーをもらうための下準備が必要になります。
つまり、1年後にはまた新しいビザの取得について心配しないといけないわけです。
海外に住むことの一番の難しさはビザだと思います。
なぜならビザがないと合法的にその国に住むことができないわけですから。
よく海外留学やワーホリに必要なものは「英語力」とか、「異文化への適応力」とかいいますが、一番必要なものはビザです。
それ以外のものはビザを取得してから考えればいいのです。
そしてイギリスはビザに関するルールを定期的に変更します。
今から次の心配をしても、2年後にはまたルールが変わっている可能性も高いのであまり先のことを考えすぎないことも、時には大事です。
日本にいる移民にも共感するようになった
ビザというのはその国に生まれて、その国の国籍を持っている人には一生関係ないこともあるでしょう。
私も日本に住んでいた時は、滞在のためのビザの必要性なんてそこまで考えたこともありませんでした。
自分のビザの更新手続きをするたびに、日本に住んでいる海外からの移民や、外国籍の人や、難民の人たちも、日本に滞在するために、きっとビザで苦労しているんだろうなと、少し考えるようになったのでした。