1月末で会期が終了するアントニー・ゴームリー(Antony Gormley)の展示に滑り込みで行ってきました。
アントニー・ゴームリーと私
アントニー・ゴームリーは、現代でも最も有名なイギリスの彫刻家の一人です。
私が初めて彼の作品を知ったのは、学生時代です。
「ランドスケープとアーティスト」というテーマのエッセイを書く課題があり、その時に選んだアーティストがアントニー・ゴームリーだったのです。
以来彼の作品に興味が湧き、彼の作品展や展示があればチェックしています。
初めてアントニー・ゴームリーの展示を観に行ったのは、2019年にロンドンにあるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで大規模な個展が開かれた時でした。
彼の作品はイギリス国内で常設で設置してあるものも多く、また屋外の作品も多数あります。
White Cubeでの展示
今回White Cubeというギャラリーで開かれた展示会は、2019年の展示会より規模こそ小さいものの、コロナ以降に作られた彼の最近の作品が見られて満足のいくものでした。
アントニー・ゴームリーは主に「人体と空間」を扱った作品を多く作ります。
この作品も一見ただのコンクリートブロックに見えますが、人の身体を表現しています。
下の作品は遠目から見るとレンガが無造作に積まれているように見えますが……。
近づいてよく見ると、1つひとつが人間のポーズをしています。
なんと224体もあるそうです。
どの彫刻も、同じ大きさのレンガの組み合わせを用いて造られているところがまたすごい。
しかもこのレンガ、積み上げてあるだけで接着してないので、たまにうっかり観客が蹴り飛ばしてしまうことも。
わざと壊れやすく展示してあるのかもしれません。
館内で上映されていたゴームリー自身による作品解説では、彼のアトリエ内の技術変化について触れられていてとても興味深かったです。
例えばこの作品は、一見すると短い金属同士を溶接してあるように見えますが、実際は全体が1つの型から鋳造されたものだそうです。
発泡スチロール系の素材で原型を作り、砂で型を作り固め、そこに鋳型を流し込むと中身の発泡スチロールが溶けて、金属の彫像ができるそうです。
展示を観終わった後は、近くのバラマーケットでお昼を食べて、ゆったりとした冬の日を過ごしました。
White Cubeに行くのは初めてだったのですが、周辺にはおしゃれなアートギャラリーやカフェが固まっていて、散策によさそうでした。
また機会があればこのエリアに足を延ばしてみたいです。